子供ドラマ1970年代1980年代1990年代

1993年酉年の平和を守るシュシュトリアン!左から花子、雪子、月子。
■ストーリー
1993年の元旦を迎えた山吹家。しかしそのお正月はとても幸福な年明けとは言えなかった。両親の夫婦仲が悪く、今日も正月早々喧嘩の嵐。いや、喧嘩というよりもまさに末期。離婚の危機迫るといった感じだ。いたたまれなくなった雪子、月子、花子の三姉妹はカラオケボックスに行き、歌ってそのウサ晴らそうとD−31番の曲をセットした。と、その瞬間!突然カラオケマシンが爆発し、モニターから今年の干支である『お酉様』が現れたのだ!

 1993年酉年。十二支には古来その年の平和と幸福を守る義務がある。今年はまさにお酉様の年なのであるが、彼は年末年始に遊びほうけた結果カラオケにはまってしまい、もはやカラオケ無しでは生きられない体になってしまっていた。したがって今年の平和は守れない。だから自分の代わりに今年の平和と幸福を守る為に戦ってくれないか?などと身勝手な相談をもちかけ始める。あまりに一方的で突拍子の無い話にひいてしまう三姉妹であったが、お酉様の出したある交換条件に耳を傾けざるを得なくなってしまうのだ。

「この願いを聞いてくれるのであれば、両親の仲を円満にとりもつ」

今の三人の一番の悩みである両親の不仲。その問題が解決するのならば・・・躊躇している三人。しかしそんな三人の心を知ってか知らぬか、お酉様は彼女達をいきなり『シュシュトリアン』に変身させてしまう。しかも変身の秘密が社会にばれたらお前たちをローストチキンに変えてしまうと忠告をつきつけるのだ。そしてお酉様は、この一年間の平和と幸福を彼女らに託し、勝手に消えてしまった。唖然とする三人であったが、こうなればやるしかない!
 そんなこんなで、あまりにも一方的な展開で正義の味方『有言実行三姉妹シュシュトリアン』は誕生し、1993年の平和と幸福を守る彼女らの戦いが始まるのであった。
■作品解説
とんでもない変身ヒロインである。1993年酉年限定の平和を守るという、すごく狭く偏ったスローガン。全世界の平和をしょって立つ他の石ノ森ヒーロー達とは大違いだ。誕生秘話も、悪の秘密結社にさらわれて改造されたなんてネガな理由があるはずもない。ただただ呆けた神様の尻拭いの為に変身させられ、わけのわからないままに戦わざるを得なくなってしまう。こんな誕生の仕方をした変身ヒーロー(ヒロイン)ものは他に見当たらない。というか見当たるはずもない。あまりにもアバウトで、「なんでそうなるの??」などと考えるのさえばかばかしくなってしまう。ただただ頭をからっぽにして「ばかばかしい!!」とゲラゲラ笑って観るのが、正しいシュシュトリアンの観方といえよう。浦沢義雄らのシュールな脚本の魅力が炸裂している本作は、このテの作品が好きなファンにはたまらない一作である。

 シュシュトリアンの見所はそんな脱力系シュールギャグの応酬に加えて、変身ヒロインものとしてのかっこよさももちろん満載している。お酉様から託されたバルミラクルと呼ばれる三色の宝珠を掲げ、「シュシュトリアン!」と叫ぶことにより三人は変身するのだが、上の写真にあるように、変身後のコスチュームは純和風!他では絶対に真似できない強烈な個性を放っている。そして忘れてはならないのが、毎週戦いの前に述べる口上。同じ石ノ森作品である『仮面ライダーストロンガー』(東映・75年)でも、主人公・城茂の変身したストロンガーが「天が呼ぶ地が呼ぶ人が呼ぶ、悪を倒せと俺を呼ぶ!」と、有名な名乗りを上げていたが、シュシュトリアンの場合はちょっと・・・いや、相当違う。戦いの前に述べる言葉がすべて「ことわざ」なのだ。「故人曰く・・・」から始まることわざは、その回の怪人の罪を問いただし、そして諭すものである。その辺は子供番組らしく、毎回そのことわざの意味がなんたるかを説明してくれるのが親切。三姉妹がどんなことわざを言ったのかは、放映リストに全話のことわざを掲載してあるので参考にしてほしい。どんな意味か調べれば結構勉強になったりする。最初の20本くらいまでは結構まともなことわざで攻めているのだが、回が進むにつれ「橋幸夫曰く!」「NTT曰く!」「モロボシダン曰く!」と、どんどんと暴走しはじめ、もはやことわざの域はとうに通り越してしまっている(笑)この果て無き暴走ノリがシュシュトリアンの一番の魅力とも言えるのだが、果たして当時の視聴者である子供達が橋幸夫やモロボシダンを知っていたのか?最終回なんて菅原洋一の「今日でお別れ」(なかにし礼作詞/宇井あきら作曲・・・1970年のレコード大賞受賞曲)だぞ!?今40代のおぢさん達しか理解できないぞ!・・・まぁ、「子供にはわかんないよ!」なんて事をこの番組に言うこと自体、シュシュトリアン的に言えば、『愚の骨頂』なのであるが(笑)

 忘れてならないのが、第40話『ウルトラマンに逢いたい』。なんと初代ウルトラマンがゲスト出演!本番組の大ファンであった円谷一夫専務(その後社長に就任し、現在は辞任されている)の熱いエールを受け、円谷プロの全面協力によって実現した企画。夢のコラボレーションとしてファンの間で大きな話題となった。この回でシュシュトリアンが言った「モロボシダン曰く、戦いは血を吐きながら・・」の文句は、『ウルトラセブン』第26話「超兵器R1号」(68年3月31日放映分)で、果てしなき軍事開発に対しモロボシダンがつぶやいた有名な台詞である。シュシュトリアン第40話を観る時に併せて鑑賞すれば、より一層楽しめる事うけあいだ。ちなみに花子役の広瀬仁美が鶴姫という役で出演していた『忍者戦隊カクレンジャー』にはシュシュトリアンがゲスト出演し、更に特撮ファンの話題をさらった。吹越満や柴田理恵など、WAHAHA本舗系個性派俳優の出演も多く、脇をしっかりと固めている為に映像作品としてのグレードもなにげに高い。

 なにかと話題の多かった本作は、子供ドラマの枠を越えて大人でも充分に楽しめる作品だ。未だ未見の方は近隣のレンタルビデオ店で発見したのならば迷わず借りてみてほしい。絶対に損をする事は無いはず。少し疲れ気味のあなたにもオススメの作品だ。学校や仕事や、ましてや恋の悩みなんてみーんなばかばかしく思えてくるから・・・(笑)

【文責:茲田 渓(石森プロ)】

■放送データ
1993/ 1/ 10〜1993/10/31放送【全42話】
フジテレビ系 毎週日曜日 9:00〜9:30
■スタッフ
原作:石森章太郎
企画:高橋松徳・金田耕司(フジテレビ)・木村京太郎(読売広告社)・小林義明
プロデューサー:日笠 淳・角田美華
音楽:本間勇輔

主題歌(オープニング)「思いたったが吉日」
歌:三姉妹

主題歌(エンディング)「あなたには言えない」
歌:矢野顕子

制作:フジテレビ・東映
■キャスト(順不同)
山吹雪子:田中規子
山吹月子:石橋 桂
山吹花子:広瀬仁美
山吹英三郎:佐渡 稔
山吹 恵:日向明子
篠山:広田雅宣
加納:大崎晃一
荒木:石川秀樹
ETおばさん:柴田理恵
怪猫猫姫:布施絵理
フライドチキン男:吹越 満
お酉様:麿 赤児
シュシュトリアン雪子
【本名:山吹 雪子】
山吹三姉妹の長女、雪子が変身する「知恵」のシュシュトリアン。そして三人のリーダーである。捜査活動において、その明晰な頭脳で的確な分析と推理をする。
お酉様から授かった宝珠は黄色のバルミラクル。変身前には専用の道具として、「シュシュコンパクト」という魔法のコンパクトを持つ。
私立高校一年生。16歳。
シュシュトリアン月子
【本名:山吹 月子】
山吹三姉妹の次女、月子が変身する「直感」のシュシュトリアン。占いやおまじないが大好きで、占い誌「My Birthday」を愛読する夢見る少女。自分の世界に浸ってしまう事が多く、周りからは理解できない子と言われる事もしばし。だが何故か色々な男子にモテモテだったりする。
お酉様から授かった宝珠は藍色のバルミラクル。変身前には専用の道具として、「シュシュリップ」という魔法のリップスティックを持つ。
私立中学一年生。13歳
シュシュトリアン花子
【本名:山吹 花子】
山吹三姉妹の三女、花子が変身する「情熱」のシュシュトリアン。次女の月子とは対照的で、どんな事にもクビをつっこみたがる。三人の内で一番「正義」に敏感であり、シュシュトリアンとしての使命に燃え、悪人をどこまでも追いかける。短気で男勝りのおてんば娘。お酉様から授かった宝珠は紅色のバルミラクル。変身前には専用の道具として、「シュシュコロン」という魔法の香水アトマイザーを持つ。
小学6年生。11歳。
お酉様
 
山吹三姉妹に1993年酉年の幸福と平和を守る使命を与え、シュシュトリアンの力を与えた十二支の一人。年末年始と遊びほうけてカラオケ中毒になってしまい、守らなければならない酉年の平和が守れなくなってしまった為に半ば無理矢理三姉妹にその使命を押しつける。とはいえ、その体たらくがばれてしまうとまずい為に、「正体がばれたらローストチキンにしてしまうぞ!」などと身勝手な枷まで与えてしまう呆れたおやじである。自らのメッセンジャーとして「フライドチキン男」(吹越満)を遣う。
放映回 サブタイトル 放送日 脚本 監督 今週のことわざ/格言
1 涙の妖怪・ザ・お正月 93/01/10 三ツ村鐵治 浦沢義雄 故人曰く!過ぎたるは尚及ばざるが如し
2 怪人大相撲 93/01/17 三ツ村鐵治 浦沢義雄 故人曰く!贔屓(ひいき)の引倒し
3 蜂妖怪・ザ・不幸 93/01/24 坂本太郎 大原清秀 故人曰く!足を知らざる者は富むといえど貧し
4 妖怪ヘリクツ、現る 93/01/31 坂本太郎 大原清秀 故人曰く!理屈と膏薬はどこにでもつく
5 謎の女形・金平糖婦人 93/02/07 岩原直樹 浦沢義雄 故人曰く!五重の塔も下から組む
6 光源氏のバレンタイン 93/02/14 岩原直樹 浦沢義雄 故人曰く!腹八分目に医者いらず 盗人を捕らえてみれば我が子なり
7 誰かがあなたを愛してる 93/02/21 佐伯孚治 大原清秀 故人曰く!可愛さあまって憎さ百倍
8 謎の2・29事件 93/02/28 佐伯孚治 大原清秀 故人曰く!坊主憎けりゃ袈裟(けさ)まで憎い
9 フライドチキン男の青い鳥 93/03/07 岩原直樹 浦沢義雄 故人曰く!天知る地知る我知る人知る
10 ETおばさん見参 93/03/14 岩原直樹 浦沢義雄 故人曰く!捕らぬ狸の皮算用
11 なにか妖怪? 93/03/21 坂本太郎 大原清秀 故人曰く!やはり野に置くレンゲ草
12 働く小学生のユーウツ 93/03/28 坂本太郎 武上純希 故人曰く!己の長を以て人の短をあらわす事なかれ
13 好き嫌いのあるゴミ箱 93/04/04 佐伯孚治 浦沢義雄 故人曰く!春眠暁を覚えず
14 シュシュトリアンの父現わる!? 93/04/11 佐伯孚治 浦沢義雄 故人曰く!人のふんどしで相撲を取る
15 普通戦隊サラリーマン 93/04/18 岩原直樹 大原清秀 故人曰く!十人十色
16 怪人カメラの犯罪 93/04/25 岩原直樹 浦沢義雄 故人曰く!弘法も筆の誤り
17 まくら大王、夢見るぞ 93/05/02 佐伯孚治 武上純希 故人曰く!夢に富みする
18 ETおばさんのカーネーション 93/05/09 佐伯孚治 浦沢義雄 故人曰く!人を呪わば穴二つ
19 妖怪・理想の主婦 93/05/16 小原宏裕 大原秀清 故人曰く!楽あれば苦あり
20 原料魔がゆく! 93/05/23 小原宏裕 大原秀清 故人曰く!元の木阿弥(もくあみ)
21 いじけたジューサー 93/05/30 岩原直樹 浦沢義雄 故人曰く!同じ穴の狢(むじな)
22 妖怪おやじ虫若返りの秘法 93/06/06 岩原直樹 武上純希 故人曰く!年寄りの冷や水
23 アジサイ仮面の心 93/06/13 小原宏裕 浦沢義雄 橋幸夫曰く!雨が小粒の真珠なら、恋はピンクのバラの花
24 ETおばさんと扇 93/06/20 小原宏裕 浦沢義雄 故人曰く!暑さ寒さも彼岸まで
25 命短し、コイせよ乙女! 93/06/27 坂本太郎 大原秀清 故人曰く!恋はくせ者
26 妖怪魍魎と写真の美女 93/07/04 坂本太郎 武上純希 故人曰く!人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んじまえ
27 紫外線の正体 93/07/11 岩原直樹 浦沢義雄 ジャン=ジャック=ルソー曰く!自然に帰れ
28 猫姫の野望 93/07/18 岩原直樹 浦沢義雄 故人曰く!なき猫はネズミ捕らず
29 嘆きのスイカ 93/08/01 佐伯孚治 浦沢義雄 故人曰く!沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり
30 涼電話の夏 93/08/08 佐伯孚治 浦沢義雄 NTT曰く!電話料金はお早めに
31 山吹家真夏の悪夢
シュシュトリアン名場面集
93/08/15 岩原直樹 岩原直樹(構成) ※総集編の為、格言無し。
32 山吹家の秘密 93/08/22 村山新治 武上純希 故人曰く!仏造って魂入れず
33 妖怪・米ツキバッタ! 93/08/29 岩原直樹 大原秀清 故人曰く!天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らず
34 ETおばさんの帰省 93/09/05 村山新治 浦沢義雄 故人曰く!大根を正宗で切る
35 怪奇!C型仮面 93/09/12 岩原直樹 大原秀清 故人曰く!血は水よりも濃し
36 怪人・真実一郎 93/09/19 坂本太郎 大原秀清 故人曰く!嘘も方便
37 恐竜の卵 93/09/26 坂本太郎 浦沢義雄 故人曰く!イタチの最後っ屁
38 チーズになった月 93/10/03 三ツ村鐵治 浦沢義雄 ガガーリン曰く!地球は青かった
39 愛しのナルシス仮面 93/10/10 佐伯孚治 鹿島とも子 故人曰く!人のふり見て我がふり直せ
40 ウルトラマンに逢いたい 93/10/17 佐伯孚治 武上純希 ET曰く!「We are not alone.」
モロボシダン曰く!戦いは血を吐きながら続ける悲しいマラソンのようなものだ
41 消えた十二支 93/10/24 岩原直樹 浦沢義雄 故人曰く!泣いて暮らすも一生、笑って暮らすも一生
42 シュシュトリアン最後の闘い 93/00/00 岩原直樹 浦沢義雄 菅原洋一曰く!今日でお別れね、もう逢えないの